超大型X線CT拠点化検討
X線CTは実物製品全体をスキャンして、個別部品の3D計測を効率良くデジタル化できる計測技術であり、サイバー・フィジカル・エンジニアリング(CPE)の普及・展開のためにはとても重要な技術です。また、その装置や設備の拠点化については、超大型X線CT装置を中核に、中小型のX線CT装置や光学スキャナー、材料分析などを組み合わせたリバースエンジニアリング装置群(システム)として整備・拠点化することで、多種多様な製品を、ユーザの要望に応じて最適に、高精度・高効率な計測とデータ作成をワンストップで行うことが必要と考えられます。また、撮像データのセキュリティーの確保、データ集積の加速化、高品質化、低コスト化なども期待されます。こうした拠点化にあたっての整備計画と運用及び体制の検討を技術研究組合内で検討しています。
コンセプトムービー(youtubeへのリンク)です FXCT Giant Gantry X-ray CT Scanning System (Concept Movie)
我が国におけるCAEサービス提供の仕組みおよびデータプラットフォームに関する検討
我が国におけるCAE(Computer Aided Engineering ) サービス提供において、多種多様なデータの統一的な扱いが仕組み作りのネックになっています。そこで、本事業を実施する中で参加企業・大学などが得た技術・ノウハウ・経験などを検討委員会の場に集約し、下記に示す項目について、各種データ・データベース・データ構造などの統一的扱いをするための検討と試行を行っています。この他、本事業を進めていく上で顕在化した仕組み作りのための課題、CAEサービス提供の仕組みの試行とその結果をふまえた今後の方向性も検討しています。
a) 自動車実車のリバースエンジニアリングを行うことで得られた3D-CADのデータ相互の関連性の整理を行い、構築したBOM(Bills of Materials)およびCADモデルに加えて、CAEシミュレーションにも用いることのできる素材データベースを作成する。
b) a) により構築されたCAEモデルを用いて、各種CAEシミュレーションとして衝突・EMC(電磁両立性)・エネルギーマネージメントなどの解析を実施し、それぞれのデータの精度およびシミュレーション手法の検討を行う。さらに、これらCAEシミュレーションの相互連携や、付加製造技術等による製造技術との連携・融合を想定した効率の良いデータ構造の提案を検討する。これらCAEでの解析サービスを提供した際のユーザーよりの検証結果や要望などをフィードバックし、3D計測やシミュレーションの精度・信頼性向上につなげる。
c) CAEデータの属性情報についても、モデルの属性情報のアノテーションが規格化されていないため、それぞれの属性の従属関係をうまく扱えないなどの課題がある。計測データを直接CAE的に活用可能とするため、根本的解決を目指してオントロジー技術の可能性を検討し、実物からのデータからのデジタルデータの統合化についての検討を行う。
d) リバースエンジニアリングによって、明らかにしやすい設計情報、分かりづらい設計情報等を整理し、リバースエンジニアリングされても技術流出がしづらい設計の在り方について検討する。
経済産業省からの事業受託
2021年8月に、経済産業省の令和3年度重要技術管理体制強化事業(我が国におけるX線CTを用いたCPE体制構築可能性調査)を受託しました。※組合設立前の連盟組織として受託。
これは、我が国の安全保障・産業競争力の維持・強化のため、X線CTを活用した設計生産情報の把握とその管理、ソフトウェア、電装品等サイバー領域にも渡る高度なCPE(サイバーフィジカルエンジニアリング)分析の国内体制構築可能性の調査を行う事業です。
事業内容としては、海外の最新電気自動車を用いて、以下の事業を実施し、我が国におけるX線CTを用いたCPE体制構築可能性に関する調査検討を行うものです。
(1)製品の計測、材料・回路・半導体分析、データ化
(1)製品の計測、材料・回路・半導体分析、データ化
(2)CAE(Computer-Aided Engineering)モデル化、シミュレーション
(3)BOM(Bills of Materials)分析
(4)本調査の目的を達成するための我が国体制の在り方の検討
期間は、単年度契約で3年間を予定しています。
福島国際研究教育機構からの事業受託
福島国際研究教育機構の令和5年度「超大型 X 線 CT 装置等を活用した産業のデジタル化技術の開発等に関する調査研究事業」を受託・実施しました。
本事業では、超大型 X 線 CT を始めとしたさまざまな種類の測定装置群を用いるサイバー・フィジカル・エンジニアリング技術の活用ニーズについて、市場調査、将来動向調査、ケーススタディなど、様々な角度から調査を行い、またこれらのニーズに対する技術開発要素の明確化を行いました。また、技術革新の激しい時代において、10~20年後に想定される将来の産業構造におけるニーズについても検討し、超大型 X 線 CT等の大型設備を整備する拠点のサステナブルな運用の可能性を示しました。
是非ご一読いただき、ご意見やご感想をお知らせいただければ幸いです。